牽引療法
2015/02/18
牽引療法とは
レントゲン・MRI等で腰椎間が狭くなり椎間板が圧迫を受けていることが確認された。圧迫された椎間板が変性を起こしている事と狭くなった椎間関節が神経を圧迫している事が、痛みを発症させていると思われる。よって牽引によって椎間関節の間を拡げる事により痛みが無くなるはずである。というのが大体の理由で行われます。理論は、単純ですが生体は症状がみんな一緒とは限りません。痛みが強い状態では悪化することがあります。それには、2つ理由があります。
1.原因と結果の間違い。
「レントゲン・MRI等で腰椎間が狭くなり、椎間板が圧迫を受けていることが確認」されているのは、腰痛の原因ではありません。レントゲンに写った「腰椎間が狭くなり、椎間板が圧迫を受けている」状態を見て、なぜ背骨と背骨の間が狭くなってしまったのか?という疑問が湧きませんか?湧いて当然、理由もなしに「腰椎間が狭くなる」ことはないからです。レントゲン等で発見されるのは背骨同士等を繋いでいる筋肉が収縮して、背骨と背骨の間をせまくしている結果であり腰痛の原因ではないのです。 筋肉の拘縮とそれにともなう関節の可動不全です圧迫されている、もしくは狭くなっている状態を見て「これが原因だ」と考えてしまうと単純に「引っ張って伸ばせば良いだろう」という事になってしまいます。
2.牽引は腰痛をさらに悪化させる可能性を持っている。
腰痛時の筋肉の拘縮は運動後に筋肉が張る、といったものとは違って筋肉を護るための作用によって起こります。筋肉を護るための作用というのは筋肉が必要以上に引っ張られた時筋肉や腱が切れたり、その筋肉が付いている関節が壊れないようにするためのものです。この「体を護るための作用」がどうやって働くかというと.... 筋肉の中には「筋肉の伸び縮みを感知する装置」(筋紡錘)があります。筋肉に無理な力がかかった時には、この装置(筋紡錘)が「筋肉(筋繊維)が引っ張られすぎて切れないように縮んで守れ!」という信号を出します。そうすると、筋肉はギュッと縮んで、引っ張られても切れないようにします。車のシートベルトの仕組みと似ています。これが腰痛持ちの方の「筋肉の拘縮」なのです。
そしてこの拘縮は、先ほどの「筋肉の伸び縮みを感知する装置」(筋紡錘)が「もう緩んでも良いよ」という信号を出さない限り解除されません。そういう状態の、体を護ろうと頑張っている筋肉に強い刺激を与えてしまうと筋肉は、筋紡錘からの信号を受けて、ますます頑張って縮んで護ろうとします。つまり腰椎間が狭くなり、椎間板が圧迫を受けている状態を原因と考えて、単純に引っ張ってしまうとそういう状態を作り出している筋肉のロック(拘縮)をさらに強くしてしまう可能性があるということです。牽引療法は物理的には腰を引っ張るといった単純な行為ですがタイミング・時間・角度・負荷量を適正に行うことより治療効果が高まります。一部の医療関係者には百害あって一利なしと否定的な人もいます。しかしながら牽引療法は長い間、医療現場で行ってきた治療です。 治療の有効さを引出すのが施術者の責任だと思います。